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2008年11月02日

過酷な産科医師勤務 ベッド満床「緊急受け入れ困難」 


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 東京都内で妊婦が8病院に受け入れを拒否され死亡した問題を機に、産科救急医療の窮状がクローズアップされた。緊急処置の必要な妊婦や赤ちゃんを受け入れる都内の「総合周産期母子医療センター」のひとつ、昭和大病院(品川区)の一晩に密着すると、産科医の厳しい勤務や絶対数の不足、慢性的にベッドが足りないといった切実な声が聞かれた。母子の命を救う「最後のとりで」といえるセンターは“綱渡り”を余儀なくされていた。

 【午後5時台】
 ナースステーションに、今夜の宿直当番の長島稔医師(27)が駆け込んできた。医師になり3年目。昭和大病院に大学院生として所属している。「当直手当はでますが、給料はなし」。この日は、朝から大学病院の病棟回診などをこなした。同病院の総合周産期母子医療センターには、6つの母体・胎児集中治療室(MFICU)と、9つの新生児集中治療室(NICU)が備わる。
 産婦人科医師は30人。医師3人と助産師資格を持つ看護師4人が夜間や休日の当直に入る。産婦人科学教室の岡井崇教授は「他の母子医療センターよりも恵まれた体制だ」という。

 【午後6時台】
 長島医師に先輩医師から痛みを訴え、自分で救急外来に来た妊婦に対応するよう指示が出た。
 「流産だ」。分娩着に着替え、診察室に。「胎児はすでに死亡。私が診たときには、ほとんど母胎から排出されていた」。母は無事だがひとつの命が消えた。長島医師は言葉少なだ。
 3人当直の医師、看護師らがMFICU、NICUを巡回。ベッドは、未熟児、先天性の障害などリスクの高い出産となる妊婦で、慢性的にすべて埋まっている。緊急の受け入れ要請への対応は困難で、この日も要請が2件あったが断らざるを得なかった。いずれも妊婦の妊娠週数が短く、未熟児が生まれる可能性が高かった。
 同病院では平成19年度、232件の受け入れ要請があったが、実際に搬送されたのは62件しかない。
 MFICUでは、看護師が出産を終えた女性に話しかけていた。看護師長補佐は「症状が重い人が多く、より丁寧に診ないといけない。気を使う」。

 《ナースステーションの入り口付近に、コンピューターで受け入れ病院を探す都が運営する「周産期医療情報システム」があった。午前、午後の1日最低2回は更新されるというが、他の母子医療センターのNICUのベッド状況などほとんどが「×」マーク。各病院とも満床状態で、頻繁に更新はなかった。
 各病院とも受け入れが厳しいことをうかがわせるが、昭和大病院の別の医師は「実際は電話で問い合わせないとわからない面がある。医師らは出たり入ったりして、リアルタイムの更新は難しいから」とシステムの問題を指摘した》

 【午後11時台】
 長島医師は午後7時半ごろ、夕食をとった。「めん類を頼まない先生が多いですね。出産でいつ呼び出されるかわからない。伸びてしまいますから」。
 その後、巡回を続けた長島医師の院内携帯電話が11時半になった。「数日前に流産した女性が、体調不良を訴えてきた」。かかりつけ医から指示され、昭和大病院を訪ねてきたという。
 診察結果は「いん頭炎」。産婦人科の病と関係が薄いと判断、患者を返す。「大事でなくてよかった」
 夜間には軽症患者が、救急搬送されてくることもある。「本当に緊急性が高く重い症状の人を受け入れられないときもある」と、大槻克文医局長(43)は話した。

 【午前2時】
 簡易ベッドに体を横たえる。ウトウトし始めたころに電話が鳴った。出るのは3人の宿直医の中で、一番若い長島医師の仕事だ。3時間の仮眠中、5件の電話があった。仮眠中も緊張の連続だ。「でも、この日は比較的平穏な夜だった」
 深刻化する医師不足。大学病院などの産婦人科の勤務医師数も減少し、センターの多くは“綱渡り”の診療を余儀なくされている。
 「当直が増えるなど勤務は過酷化し救急対応も難しくなっている」。岡井教授はそう話し、訴えた。
 「国や自治体は、勤務医師数が増え、労働環境の改善につながる取り組みを急いでほしい」

■週に1回以上の夜勤や休日勤務
 30人の産科医がおり「比較的恵まれた体制」という昭和大病院の産科救急。にもかかわらず、医師らは週に1回以上、夜勤や休日勤務をこなし、代休も取れないまま翌日の勤務をしている。
 東北大学の岡村州博教授らの調査では、大学病院に勤める産婦人科医が病院に拘束される時間は平均で週85時間。休日なしで連日約12時間働き尽くめの計算となる。産科医不足の原因の一つが、こうした「過酷な勤務実態」が敬遠されている点にあることは関係者に共通した認識だ。
 産科医が足らなくなった結果、総合周産期母子医療センターの多くの運営は危機的な状況に。厚生労働省の緊急調査では全国75のセンターのうち、東京都立墨東病院など15施設では常勤産科医が6人未満だった。
 1日に日本産科婦人科学会が開催したフォーラムでも、劣悪な医師の勤務状況の改善や産科医療と救急医療の連携強化、新生児集中治療室の拡充整備の必要性を指摘する声が相次いだ。
 フォーラムに出席した岡村教授は「産科を志す以上に、辞める人が多い。各地で試みられているノウハウなどを参考に、産科医を辞めさせない策を考えなくては」と述べた。
 事態を重く見た厚生労働省では、連休明けにも周産期医療の検討会を設置。財源問題にも踏み込んで、産科医療の立て直し策を話し合う予定だ。

抜粋 MSNSANKEINEWS

・コメント
 これが実情だと思います。これだけがんばっているにも関わらず、ベット万床で医療バッシング、夜勤の連続にも関わらずミスすれば医療訴訟で訴えられて、挙句の果てには、急患ということで電話で毎日呼び出し・・・あまりの悲惨さに、逃げ出す医者も居るぐらいです。そうなると残った医者がさらなる重荷を背負うことになる悪循環です。

 今後も、ますますこういったことは増えてくると思います。医師自体の数が足りないといわれてきたのは、純粋に患者が増えたからです。

 体を使わない都市生活、欧米型の食生活に、ストレスが積み重なって健康管理が以前の社会よりも、行いにくくなっています。また高齢者が増えているからです。

 医師一人当たりの見る入院患者数は、米国の5倍、英国の3.5倍、ドイツ・フランスの3倍。外来患者数にいたっては、米国の5倍、英国の2.5倍、ドイツ・フランスの3倍、スウェーデンの8倍です。

 一人で何人分もの仕事をこなしても終わらない日本の医師の現状は、プロ意識に支えられていると言っても過言ではありません。

 この状況を突破するには医師、看護師の純増等、体制を厚くするしかありません。これまで国がとってきた「低医療費政策(医療にお金を出さない、お金をかけない)」を転換しない限り困難です。

 あまりの悲惨な状態が続けば、医者、看護師になりたいといった人が居なくなります。そうなったらどうする気なのでしょうか。

参考 総合周産期母子医療センター
 重い妊娠中毒症や切迫早産といったリスクの高い妊娠に対応する高度な医療を提供する医療施設。24時間365日態勢で産科医と新生児科医が待機し、緊急時の妊婦にも対応する。母体・胎児集中治療室(MFICU)と新生児集中治療室(NICU)を備えた地域の総合病院を対象に都道府県が指定する。厚生労働省は各都道府県に1施設以上の設置を目指しており、現在、全国45都道府県で、75カ所が指定されている。
・小児科も赤信号 救命救急センター、認定医常勤は4割 MSN

重症患者らを24時間体制で受け入れる全国の救命救急センターを対象に、日本救急医学会の小児救急特別委員会が昨年実施した調査で、回答した138施設のうち、日本小児科学会が「専門医」として認定した小児科医が常勤しているのは42%と半数以下にとどまることが分かった。

 調査は昨年、全国の救命救急センター202施設(同8月時点)を対象に実施。回答した138施設のうち、一定以上の診療能力があるとして小児科学会から認定された小児科医が常勤しているのは、58にとどまった。全体の87%が小児の救急診療を担っていたが、認定医以外も含めて常駐の小児科医が重症児に対応できるとしたのは67%。小児患者が優先的に使用できる集中治療室(ICU)があるとしたのは20%。

 特別委メンバーで北九州市立八幡病院の市川光太郎副院長は「多くの救命救急センターは大人への対応を中心に発展し、これまで小児の診療体制が不十分だった。子供に精通した医師が診療しなければ特有の疾患を見逃すケースも想定され、質の充実が必要だ」と指摘している。
タグ:産科医

posted by kei at 15:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ダイエット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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