医療事故などの際、対話による紛争解決に導く「医療メディエーター」の存在がクローズアップされている。メディエーターは英語で仲介者、調停者の意味で、医療者側と患者の間に入り、中立的な立場で両者の「橋渡し」を担う。「日本医療メディエーター協会」(理事長・高久史麿自治医科大学学長)が発足し、本格的な人材育成と資格認定がスタートする。
医療事故が絶えない中で、医療過誤訴訟は原告、被告双方に満足な結 な場面を想定したロールプレーイング(役割演技)などを通じて、実際に役立つスキルを養成。協会では年間500人の修了者を目標にしている。
同協会専務理事で早稲田大学大学院法務研究科の和田仁孝教授の調べでは、医療メディエーターとして巣立った人のうち約70%が看護師、約15%が医師、約15%が事務職と病院関係者が大半を占め、純粋な意味での第三者とはいえない。
しかし和田教授は「訓練を積んでいけば、病院関係者でも患者側に立って第三者的に動いていくことは可能だ」と強調したうえで、「日常の診療の中で医療関係者がメディエーターとしての素養を発揮すれば、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が充実し、事前に紛争の芽を摘むことができる」と話す。
日本学術会議(金沢一郎会長)は今年2月、医療事故をめぐる紛争解決のための報告書で、「初期段階から患者側を真摯(しんし)にケアし支援するメディエーションなどの専門スキルを修得した人材(院内医療メディエーター)を育成し、配置することが必要だ」と提言している。医療メディエーターにかかる期待は大きい。
抜粋 IZA
・コメント
最近注目されてきた医療メディエーターですが、聞いたことはあまり無いと思います。具体的には、医療メディエーターとは、医療機関と患者側の間にもめ事が起きそうになったときに、双方の言い分を聞いて仲介する人のことです。
もめ事が解決できなければ訴訟ということになりますが、双方のコミュニケーションがうまくいかないことが、問題なのです。ここを解決しようというのがこの医療メディエーターの仕事なのです。
最近多い医療訴訟は、訴えられた医療機関や医療従事者と、訴えた患者側が、全面的に闘うことになりますが、患者の遺族が感じているのは、責任関係を明確にして責任をとらせることではなく、実情をしりどのように患者が取り扱われたのかを知ること、そこに不備があったのかということを知ることがかなり多いということです。
しかしこれまでは「何が起きたのか知りたい」と聞いても、専門的であったり、医療機関側も「訴えられるのではないか」と身構えたりしてお互いの信頼関係が築き上げられることなく、訴訟にいたっている例が多いです。
医療側が多忙のなか、物理的にもう少し説明する時間を多く取れたり、明瞭に説明していれば、医療への不満や不信を抱かなくても済んだということが多いのではと思います。
舌足らずの説明や理解力の不足によって感情的な面で訴訟というのは双方にとって不幸です。そういった意味で、医療メディエーターの仕事はおおいに意味があると思います。
こういった医療サポーターがいてこそ医療従事者が患者の治療に専念できる体制が生まれ、医療従事者、患者双方にとってメリットがあることは明白です。
しかし、今までこの、医療メディエーターの資格や身分の保障がありませんでした。裁判だらけの医療現場には誰も近寄りたくないし、こういった制度を設けることで医療がいい方向に向かっていくのは誰にとってもいいことです。
医療がすべて弁償すべきであるとか、刑事裁判で罪人にされるべきという社会では、医療現場から誰も居なくなるでしょう。メディエーターの充実とともに、互いの立場を理解したりコミュニケーション能力を高めたりすることも必要です。
医療は万能ではありません。治せない病気のほうが多いのですから。お互いに、ありがとうを言える関係になるような医療関係に制度も、人も発展していかなければならないと思います。
参考 メディエーション
メディエーターが、当事者間の対話を促進することを通して、認知の変容を促し、納得のいく創造的な合意と関係再構築を支援するしくみです。メディエーターはあくまでも、当事者自身による自主的な合意形成を促進する役割で、「調停」のように「調停案」を提示したり、説得や評価をしたりしません。
英米では、広く普及している、当事者のための対話と協調促進のモデルです。狭義には、中立的な第三者機関での手続を意味しますが、英米では学校で子どもにも教えられるなど、日常的な問題克服のモデルを指す広い意味でも使われています。本協会では、この一般的な意味合いで、院内で患者さんと医療者の対話促進・関係再構築を支援するモデルを示す語として用いています。
院内医療メディエーターとは
院内での苦情や事故後の初期対応の際に、メディエーションのモデルを援用して患者側と医療側の対話の橋渡しをする役割です。医療メディエーターは、法律的な解決にはかかわりません。また、院内スタッフであるため、その活動は示談交渉のなかの対話促進の部分を担うことが中心となります。患者さんに寄り添い、医療機関の真摯な対応を促進するために、専門技法の習得と倫理性が要求されます。
参考 日本医療メディエーター協会
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